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筋筋膜性腰痛とは?筋肉・筋膜だけを原因にしない腰痛の考え方

「整形外科では大きな異常を指摘されなかったのに腰が痛い」

「筋筋膜性腰痛と言われたけれど、どういう状態なのかよく分からない」

「筋肉が硬い、筋膜が癒着していると言われたけれど、それが本当に腰痛の原因なの?」

このような疑問を持っている方もいらっしゃると思います。

筋肉やその周囲の組織が腰痛に関係している可能性はあります。ただし、腰に張りや圧痛があることだけから、「この筋肉が原因」「筋膜の癒着が原因」と一つに決めることはできません。

腰痛は、痛む場所だけでなく、症状が始まった経過、どの動作で痛むのか、股関節や胸郭の動き、筋力、運動量、仕事や生活での負担など、いくつかの情報を組み合わせて考えることが大切です。

このページでお伝えしたいこと

「筋筋膜性腰痛」という名前だけで原因を決めるのではなく、今の身体で何が起きていて、どのような動きや生活状況が症状と関係していそうなのかを整理することが大切です。

筋筋膜性腰痛とは?

筋筋膜性腰痛という言葉は、腰や骨盤周囲の筋肉・筋膜などの軟部組織が痛みに関係していると考えられる腰痛を説明する際に使われることがあります。

腰の筋肉を押すと痛む、身体を動かしたときに特定の場所が張る、長時間同じ姿勢を続けた後に腰が重くなるなど、筋肉周辺の症状を伴うことがあります。

ただし、「筋筋膜性腰痛」という名前が付いたからといって、腰痛の原因となっている組織が一つに確定したという意味ではありません。

腰痛には、椎間板や関節、神経、骨などが関係するものもあり、明確に一つの構造だけでは説明しにくい腰痛もあります。

そのため、「画像に大きな異常がない=筋膜が原因」と考えるのではなく、症状の経過や身体の反応も含めて整理していく必要があります。

筋肉や筋膜が腰痛に関係することはある?

あります。

腰の周囲には、身体を支えたり、曲げたり、反ったり、ひねったりする動作に関わる多くの筋肉があります。

また、腰だけで身体を動かしているわけではありません。歩く、立ち上がる、物を持ち上げるといった動作では、腹部、殿部、股関節周囲なども一緒に働きます。

仕事やスポーツで普段より負荷が増えたときや、長時間同じ姿勢が続いたときなどに、筋肉周囲へ張りや痛みを感じる場合があります。

一方で、筋肉が硬く感じることと、その筋肉が腰痛の唯一の原因であることは同じではありません。

痛みがあることで身体をかばい、その結果として筋肉が緊張していることも考えられます。また、腰以外の動き方を変えることで腰の症状が変化することもあります。

そのため、筋肉や筋膜は「確認する要素の一つ」として考えるのが自然です。

「筋膜の癒着が原因」と決めつけない理由

腰痛について調べていると、「筋膜の癒着」「トリガーポイント」「筋膜リリース」といった言葉を目にすることがあります。

筋筋膜性疼痛の研究では、筋肉の中の圧痛が強い場所や、押したときに普段感じている症状が再現される場所などをトリガーポイントとして評価することがあります。

しかし、トリガーポイントについては研究によって診断基準が異なり、触診だけで客観的に腰痛の原因を特定できるわけではありません。

押して痛い場所を見つけることは、身体を評価する一つの情報にはなります。しかし、その場所だけを施術すればすべて解決すると考えるのは慎重であるべきです。

痛む場所と、症状に関係する要素は同じとは限りません。

腰の筋肉に圧痛があったとしても、症状が出る動作、関節の動き、筋力、仕事や運動の負荷など、ほかの情報と合わせて考えていきます。

筋筋膜性腰痛ではどのような症状がある?

筋肉や筋膜が関係していると考えられる腰痛では、次のような訴えがみられることがあります。

  • 腰の一部分が痛い、重い、張るように感じる
  • 腰やお尻周囲を押すと痛みを感じる
  • 長時間座ったあとに腰がつらくなる
  • 立ち上がりや前かがみなど、特定の動作で痛む
  • 運動や仕事の負荷が増えたあとから痛みが出た
  • 身体を動かしているうちに少し楽になることがある

ただし、これらは筋筋膜性腰痛だけにみられる症状ではありません。

例えば、前かがみで痛いから筋肉が原因、押して痛いから筋膜が原因、と症状だけで判断することはできません。

当院が腰痛の評価で確認していること

同じ「腰が痛い」という訴えでも、身体の状態や生活で困っていることは患者様によって違います。

そのため、さくま整体院(接骨院併設)では、最初から施術方法を決めるのではなく、まず状況を整理します。

いつから、どのように痛くなったのか

急に痛くなったのか、徐々に始まったのか。仕事、スポーツ、引っ越し、長距離移動など、症状が始まった時期に普段と違う出来事がなかったかを伺います。

どの動作で症状が変わるのか

前にかがむ、身体を反る、ひねる、立ち上がる、歩く、座り続けるなど、実際の動作で症状がどう変化するのかを確認します。

「痛い・痛くない」だけでなく、動かしやすさや左右差なども確認します。

腰以外の動きはどうか

腰痛があるからといって、腰だけに問題があるとは限りません。

必要に応じて股関節、胸郭などの動きも確認します。例えば股関節の動き方を変えたときに腰の症状が変化するのであれば、それも身体を考える大切な情報になります。

筋力や身体の使い方はどうか

「腹筋が弱いから腰痛」「お尻の筋肉が弱いから腰痛」と一つの筋力だけで原因を決めることはしません。

実際の動作の中で、どのように身体を使っているのか、運動したときに症状がどう変化するのかを見ながら考えます。

生活の中で何に困っているのか

腰痛そのものだけでなく、「長時間仕事ができない」「子どもを抱っこするのが怖い」「趣味の運動を再開できない」など、患者様が実際に困っていることも大切です。

施術すること自体が目的ではなく、何ができるようになりたいのかを共有したうえで方法を考えていきます。

姿勢が悪いから筋筋膜性腰痛になる?

「猫背だから腰が痛い」「反り腰だから腰痛になった」「骨盤が歪んでいるから筋肉が硬くなった」と説明された経験がある方もいるかもしれません。

姿勢によって症状が変化することはあります。ただし、一つの姿勢だけを見て腰痛の原因と断定することはできません。

人の身体は、一日中同じ姿勢でいるものではありません。

座る、立つ、歩く、しゃがむなど、生活の中でさまざまな姿勢を取ります。そのため「正しい姿勢をずっと維持する」ことより、長時間同じ姿勢が続いていないか、姿勢を変えると楽になるか、机や椅子などを調整できるか、といった視点で考えることがあります。

検査で「異常なし」と言われても腰が痛むのはなぜ?

画像検査で腰痛のすべてを説明できるとは限りません。

X線やMRIは、骨や椎間板などの状態を確認するために重要な検査です。一方で、画像上の所見と実際の痛みが必ず一致するわけではありません。

そのため、医療機関で大きな異常を指摘されなかったとしても、現在感じている痛みが「気のせい」という意味ではありません。

どのような動作で痛いのか、いつから続いているのか、身体を動かしたときにどう変化するのかなど、画像検査とは別の情報も身体を理解する手がかりになります。

ただし、画像検査や医学的な診断が必要かどうかを判断するのは医師の領域です。症状によっては、整体で身体を評価する前に医療機関で確認する必要があります。

整体より先に医療機関へ相談したほうがよい腰痛

腰痛には、筋肉や動作だけではなく、医療機関で確認が必要な病気や外傷が関係している場合があります。

次のような症状がある場合は、まず整形外科などの医療機関への相談を優先してください。

  • 転倒や交通事故など、大きな外傷のあとから腰が強く痛む
  • 安静にしていても強い痛みが続く、または徐々に悪化している
  • 発熱など全身の症状を伴っている
  • 足のしびれや筋力低下が急に強くなった
  • 歩きにくさが急に強くなった
  • 排尿・排便の異常を伴う
  • これまでとは明らかに違う強い症状が出ている

「整体へ行ってよい症状なのか分からない」というときに、無理に施術を受ける必要はありません。当院でも、医療機関での確認が必要と考えられる場合には受診を優先していただきます。

筋筋膜性腰痛のセルフケアは何をすればいい?

セルフケアで大切なのは、「筋筋膜性腰痛ならこのストレッチ」という一つの方法を探すことではありません。

現在の身体で無理なくできることを試し、そのあとに症状がどう変化するのか確認していきます。

同じ姿勢を長く続けすぎない

デスクワークなどで長時間同じ姿勢が続く場合は、可能な範囲で立つ、少し歩く、座り方を変えるなど、小さく姿勢を変えてみてください。

大切なのは「完璧な姿勢」を作ることではなく、姿勢を変えたあとに腰がどう感じるかを見ることです。

できる範囲で身体を動かす

腰が痛いと、「動かさないほうがいいのでは」と不安になることがあります。

症状の状態にもよりますが、必要以上に活動を避け続けるのではなく、歩く、立つ、軽く身体を動かすなど、できる活動を続けることが検討されます。

ただし、強い痛みを我慢して運動する必要はありません。

ストレッチは強く伸ばせばよいわけではありません

腰やお尻に張りを感じると、強く伸ばしたくなるかもしれません。

しかし、「硬いから伸ばす」だけではなく、軽く動かしたあとに動きやすくなるのか、痛みが強くなるのかを確認してください。

明らかに症状が強くなる方法を無理に続ける必要はありません。

腹筋・体幹トレーニングも状態に合わせます

腰痛では腹筋や体幹を鍛えることを勧められることがあります。

運動が役立つ場合はありますが、「腹筋が弱いから腰痛になった」と決める必要はありません。

現在の筋力、活動量、症状が出る動作などを考えながら、取り組める強度から始めます。

セルフケアも「やった後」を確認してください。

身体の状態を確認する → 方法を試す → 痛みや動きの反応を見る → 必要なら方法や負荷を変える。この繰り返しが、自分に合うセルフケアを探す手がかりになります。

マッサージや筋膜リリースだけでいい?

筋肉や軟部組織への施術を受けたあと、一時的に「軽くなった」「動きやすくなった」と感じる方はいらっしゃいます。

そのような変化も、身体を考えるための一つの情報です。

ただ、腰痛が長く続いている場合に、毎回同じ場所をほぐすことだけが唯一の方法とは限りません。

施術したあとに、最初に痛かった動作がどう変化したのか。その変化が日常生活でも続くのか。運動や身体の使い方を変えた場合はどうなのか。

こうした反応を確認しながら、次の方法を考えていくことが重要です。

さくま整体院(接骨院併設)での筋筋膜性腰痛への考え方

当院では、「筋筋膜性腰痛だから筋膜リリースをする」という順番では考えていません。

まず話を伺い、身体を確認し、その時点で考えられることを患者様と共有します。

1.症状だけでなく、これまでの経過を伺います

いつから痛いのか、どのような場面で困っているのか、これまで病院や他院でどのような説明を受けたのかなどを伺います。

「腰痛」という症状が同じでも、それまでの経過は一人ひとり違います。

2.実際の身体の動きを確認します

必要に応じて、前屈、後屈、立ち上がり、歩行などを確認します。

腰だけでなく、股関節や胸郭なども確認し、どの条件で症状や動きが変わるのかを見ていきます。

3.一つに決めつけず、考えられることを整理します

筋肉や軟部組織、関節の動き、筋力、動作、生活での負担などから、現在の症状に関係していそうな要素を整理します。

この段階で、「筋膜が原因です」「骨盤が歪んでいるからです」と一つに断定することはしません。

4.なぜその方法を行うのか説明します

確認した内容をお伝えし、必要に応じて手技療法、関節へのアプローチ、運動、日常生活での工夫などを検討します。

ラジオ波やEMSなどを使用することもありますが、筋筋膜性腰痛という名前だけを理由に全員へ同じ方法を行うわけではありません。

「なぜ今この方法を試すのか」を説明し、納得していただいたうえで進めます。

5.施術や運動のあとにもう一度確認します

施術をして終わりではありません。

最初に痛かった動作や動きにくかった動作をもう一度行い、症状や身体の動きがどう変わったのかを確認します。

想定した変化があれば、それを次の取り組みを考える材料にします。変化が少なければ、別の可能性を考えて評価し直します。

一時的に楽になるけれど、腰痛を繰り返している方へ

「マッサージを受けた日は楽だけれど、数日するとまた腰がつらくなる」という相談を受けることがあります。

その場合、一時的に楽になる施術そのものが悪いわけではありません。

ただ、同じことを繰り返しているのであれば、「なぜ楽になったのか」「何をするとまた症状が出るのか」「生活の中で変えられそうなことはあるのか」まで整理してみる価値があります。

施術だけで身体を任せきりにするのではなく、ご自身でも身体について少しずつ理解できるようになることを当院では大切にしています。

よくある質問

筋筋膜性腰痛は筋膜の癒着が原因ですか?

筋肉や筋膜が痛みに関係している可能性はありますが、「筋膜の癒着」が腰痛の原因だと症状だけから断定することはできません。圧痛、動作、関節の動き、筋力、症状の経過などを合わせて考えることが大切です。

筋筋膜性腰痛は筋膜リリースをすればよくなりますか?

軟部組織への施術後に症状や動きが変化する場合はあります。ただし、筋膜リリースだけですべての腰痛に対応できるわけではありません。施術後の反応や日常生活での状態を確認し、必要に応じて運動なども検討します。

温めても大丈夫ですか?

温めることで心地よく感じる方もいます。一方、強い外傷の直後、腫れや熱感がある、原因が分からない強い痛みがあるなどの場合は、自己判断せず医療機関へ相談してください。

腰痛があっても運動していいですか?

腰痛がある場合でも、症状に合わせて活動や運動を続けることが検討されます。ただし、強い痛みを我慢する必要はありません。現在できる範囲から始め、運動後の反応を確認してください。

MRIで異常がなければ筋筋膜性腰痛ですか?

いいえ。画像検査で腰痛の原因となる大きな所見が確認されなかったことだけを理由に、筋筋膜性腰痛と決めることはできません。診断については医師の判断を尊重しながら、動作や生活背景など別の情報も含めて身体の状態を考えていきます。

どのくらいで良くなりますか?

腰痛の経過は、症状が始まった時期、身体の状態、仕事や生活での負担などによって異なります。そのため「何回でよくなる」と一律にお伝えすることはできません。身体の反応を確認しながら、その時点で必要な取り組みを相談していきます。

腰痛について、もう少し詳しく知りたい方へ

このページでは「筋筋膜性腰痛」という言葉を中心に説明しました。腰痛全体について、原因の考え方、受診の目安、運動やセルフケアなどを知りたい方は、腰痛の総合ページをご覧ください。

腰痛が続き、身体の状態を一度整理したい方へ

「病院では大きな異常を指摘されなかったけれど腰が痛い」「筋肉や筋膜が原因と言われたけれど、自分の身体で何が起きているのかよく分からない」「その場だけではなく、運動や生活のことも含めて相談したい」という方は、一度身体の状態を整理してみるのも一つの方法です。

さくま整体院(接骨院併設)では、症状名だけで施術方法を決めるのではなく、これまでの経過や困っていることを伺い、実際の身体の動きを確認します。

確認した内容について分かりやすくお伝えし、施術・運動・セルフケアなどから、今できそうなことを一緒に考えていきます。

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さくま整体院(接骨院併設)

〒150-0013
東京都渋谷区恵比寿3-2-9 光陽ビル101

恵比寿駅徒歩10分/広尾駅徒歩12分

参考文献

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  • Fernández-de-Las-Peñas C, Dommerholt J. International Consensus on Diagnostic Criteria and Clinical Considerations of Myofascial Trigger Points: A Delphi Study. Pain Med. 2018;19(1):142-150.

この記事について

理学療法士・柔道整復師としての臨床経験を踏まえ、筋筋膜性腰痛について患者様が身体の状態を考えるための一般的な情報として作成しています。臨床上の経験と医学的な診断は区別し、画像検査や診断が必要と考えられる場合には医療機関での確認を優先します。

※本ページは一般的な医療・健康情報を提供するものであり、個別の診断を行うものではありません。強い痛みが続く場合、しびれや筋力低下が進行する場合、発熱、外傷後の強い痛み、排尿・排便の異常などがある場合は、整形外科などの医療機関へご相談ください。

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