【腰痛を良くする運動でどのような事をすればよいのか?】〜腰椎椎間板ヘルニア言われた方へ〜

【腰痛を良くする運動でどのような事をすればよいのか?】〜腰椎椎間板ヘルニア言われた方へ〜
腰痛の患者さんからよくいただく質問が、「運動をした方が良いと言われたけど、具体的に何をすればいいの?」というものです。
今回は、当院から整形外科へご紹介した患者様の例をもとに、「本当に効果のある腰痛改善運動」を分かりやすく説明していきます。
整形外科の医師からいただいたコメントは以下の通りでした。
「等張性運動は避けていただき、等尺性運動や腰椎以外の関節可動域を主体に運動療法をお願いします。」
専門用語が多く、一般の方には分かりづらいと思います。
この記事では、医師の意図を誰でも理解できるように噛み砕いてご説明します。
■ MRIで分かった“本当の腰痛の原因”
整形外科でMRIを撮った結果、次の2つが確認されました。
① L4/5椎間板ヘルニア
椎間板の中心(髄核)が後方に飛び出し、神経を刺激している状態です。
前かがみで痛みが出る・足にしびれが走るなどの典型的な症状が出ます。
② STIR条件で輝度変化 → 繊維輪損傷(断裂)
MRIのSTIR画像では、炎症や損傷部分が白く光って見えるという特徴があります。
今回の患者様では、椎間板の外側にある繊維輪に輝度変化が見られ、「繊維輪の断裂=椎間板の炎症が強い状態」であることが分かりました。
レントゲンでは分からない“痛みの大元”が、MRIではっきり確認できたというケースです。
■ なぜ「等張性運動を避ける」必要があるのか?
等張性運動は、「動かしながら行う筋トレ」のことです。
- 腹筋・背筋運動
- スクワット
- 重い荷物を持ち上げる動作
- 反動を使ったストレッチ
これらは、椎間板への圧力が急激に変化するため危険です。
繊維輪に亀裂がある状態で行うと、痛みが悪化する・治癒が遅れるというリスクがあります。
■ では、腰痛を良くするために何をすべきか?
医師の指示の通り、ポイントは「等尺性運動」と「腰以外の関節をしっかり動かすこと」です。
① 等尺性運動(アイソメトリック)
関節を動かさないで筋肉に力を入れる運動のこと。
腰を動かさずに鍛えられるため、椎間板損傷でも安全性が高いのが特徴です。
代表的な等尺性運動はこちら:
- ドローイン(お腹をへこませて10秒キープ)
- 腹圧ブレーシング(お腹を360°膨らませてキープ)
- 骨盤の押し付け運動(骨盤を軽く後傾して10秒)
いずれも痛みが出にくく、椎間板を守りながら体幹の安定性が向上します。
② 腰以外の関節をしっかり動かす
腰は、股関節や胸椎(背中)が硬いと代わりに動かされ、余計に負担がかかります。
そのため、「腰を休ませながら、周りの関節を動きやすくする」ことが大切です。
- 股関節の前後スライド
- 胸椎のひねり(腰はひねらない)
- 軽いハムストリングスのストレッチ(強く伸ばさない)
- 肩・肋骨の可動域改善
腰を守るために「腰以外をしっかり動かす」ことが、結果的に治りを早めます。
■ 避けるべき動き・悪化しやすい動作
- 強い腹筋・背筋運動
- 反動を使ったストレッチ
- 重たい荷物を持ち上げる
- 長時間の中腰
- 痛みを我慢した運動
繊維輪損傷がある場合、「痛いけど動かした方が良い」は逆効果です。
■ まとめ:腰痛改善のポイント
- L4/5椎間板ヘルニア+繊維輪損傷では、動かしすぎは危険
- 等尺性運動で体幹を安全に鍛える
- 股関節・胸椎など腰以外をしっかり動かす
- 椎間板を守りながら、再発しない身体の使い方を作る
当院では、MRI画像の所見や痛みの状態を踏まえ、患者様一人ひとりに合わせた運動療法を行っています。
「何をして良いか分からない」「痛みが続いて不安」などがありましたら、ぜひご相談ください。



