ラジオ波による筋膜リリースと普通の筋膜リリースの違いついて
ラジオ波による筋膜リリースと普通の筋膜リリースの違いは?
理学療法士がわかりやすく解説
筋膜リリースは、筋膜の癒着・硬化をほどき、筋肉の柔軟性や可動域を回復させるための代表的アプローチです。近年はラジオ波(高周波)を用いた方法が注目されています。ここでは、筋膜の基礎から、ラジオ波×手技の違い、適応・禁忌、臨床での使い分けまでを整理します。
目次
1. 筋膜とは?役割と不調のメカニズム
筋膜(fascia)は、筋・骨・内臓・血管・神経を包み、全身を連結する薄い膜状の結合組織。第二の骨格とも呼ばれ、姿勢や運動、感覚機能に深く関与します。
主な役割
- 支持・保護:臓器や筋の位置を保持、衝撃を緩和
- 力の伝達:身体各所の連動を助け、動作効率を向上
- 循環補助:血液・リンパ流をサポート
- 感覚受容:圧・伸張・痛みなどを感知
硬化・癒着の主因
- 長時間の同一姿勢(デスクワーク/運転)
- 運動不足または過剰負荷
- ストレス・睡眠不足
- 外傷・手術後の瘢痕
- 加齢による水分量低下と弾性低下
2. 従来の筋膜リリース(手技・器具)の特徴
施術者の手や専用ツールで筋膜の滑走を回復させる方法。代表例は以下です。
手技療法(MFR)
- 持続圧・牽引・皮膚ローディングなどで癒着点へ直接アプローチ
- 微細な質感の変化を指で判別しやすい
- 部位選択の自由度が高く、きめ細かい調整が可能
器具療法
- フォームローラー/ボールなどで自己リリース
- IASTM*(器具による軟部組織モビライゼーション)
- 手では届きにくい深部や広範囲に反復刺激がしやすい
*施術者が用いる専用器具を使った徒手療法の総称。
留意:痛みに敏感な方は刺激量を調整。強い圧は炎症のぶり返しに注意。
3. ラジオ波(高周波)による筋膜リリースのメカニズム
専用機器から高周波エネルギーを体内へ送り、深部加温(ジュール熱)を起こして滑走性を高める方法です。
- 深部加温:水分子・イオンの振動で組織内に熱を発生。皮下深部まで温まりやすい。
- 血行促進:酸素・栄養供給アップ、代謝産物のクリアランス改善。
- コラーゲンの熱変性と再構築:一時的な軟化→再配列で組織のしなやかさを回復。
4. ラジオ波 vs 手技:違いと使い分け
到達性
ラジオ波:深部まで均一に加温しやすい/手技:局所の癒着点をピンポイントに狙いやすい
刺激感
ラジオ波:心地よい温感で低痛性/手技:圧や牽引で違和感を伴うことも
即時効果
ラジオ波:温熱で可動域が出やすい/手技:滑走改善が出ると即座に軽さを感じやすい
再現性
ラジオ波:出力・時間で管理しやすい/手技:施術者の熟練度に依存
セルフケア
ラジオ波:家庭用は適応・安全性に注意/手技系:フォームローラー等で再現しやすい
ベストミックス
ラジオ波で軟化→手技で滑走改善→運動療法で定着が王道
5. 当院の施術方針:ラジオ波×手技×運動療法で根本から
① 評価と説明
- 姿勢・歩行・関節可動・筋膜ラインを総合評価
- なぜ痛むのかを可視化し、方針を共有
② ラジオ波で深部から軟化
- 心地よい温感でガードを解除し、血流と滑走性を高める
- 夜間痛や防御収縮が強い時期にも適応しやすい
③ 手技で癒着線を解放
- 棘上筋・大胸筋・小胸筋・広背筋・前鋸筋などの滑走不良点へピンポイント介入
④ 運動療法で定着
- 肩甲帯・胸椎・骨盤の連鎖を再学習(呼吸×可動エクササイズ)
- フォームローラー等のセルフケアを処方
院長は理学療法士・柔道整復師の国家資格者。安全性と再現性にこだわります。
6. ハイドロリリースとの違いと連携
ハイドロリリース(筋膜リリース注射)は、医師が超音波エコー下で生理食塩水等を注入し、癒着面を機械的に剥離・滑走改善を図る医療行為です。当院では実施していませんが、必要に応じて整形外科・ペインクリニックと連携します。
7. よくある質問(Q&A)
Q1. どちらが「優れている」のですか?
A. 優劣というより役割が違うと考えます。ラジオ波は深部加温と受容性向上、手技は癒着点の精密解放に強み。組み合わせが最短ルートです。
Q2. 何回で良くなりますか?
A. 症状歴・生活習慣・可動域により異なります。まず4〜6回で反応を確認し、以降は状態に応じて間隔を調整します。
Q3. 自宅でできることは?
A. フォームローラーや呼吸法、肩甲骨のモビリティドリルが有効。痛みスケール0〜3/10を目安に実施します。強い痛みの時期は無理をしないでください。
Q4. ラジオ波は安全ですか?
A. 適切な評価と設定のもとでは一般に安全ですが、禁忌部位・既往歴には配慮が必要です(ペースメーカー等)。事前にご相談ください。
8. アクセス・ご予約
※本記事は一般的なヘルスガイドです。診断・治療が必要な場合は医療機関をご受診ください。
まとめ
ラジオ波の深部加温で受容性を高め、手技で癒着線を解放し、運動療法で定着させる——この三位一体が最短で機能を取り戻す鍵です。必要に応じて整形外科・ペインクリニックと連携しながら、あなたの「動ける身体」を取り戻します。